研究内容

古典に見る生薬の変遷/局方収載生薬の品質評価に関する研究

 生薬には、加熱する、蒸す、裁断するなどといった基原植物の薬用部位にある処理(修治)を施して用いるとされるものがある。

 その多くは、臨床経験に基づくもので、その処理により副作用減弱や作用増強が科学的に証明されているものもあるが、いまだ詳細が不明なものも少なくない。

 古典に基づく修治がどのような意味を持つのか、成分の変化や薬効評価により科学的に解明する研究を行っている。

漢方薬が生体に与える影響の解析

 漢方薬が実際に生体に対してどのような影響を及ぼしているかは、まだまだ未知の部分が多い。

 これは、漢方薬が、単一成分の西洋薬と異なり、多成分系のものであるために同時に様々な生体内のイベントが引き起こされることから、同じようなアプローチでは自ずと限界があることに由来する。

 このため、新たな試みとして、対象を標的分子などのミクロでなく生体全体としてとらえた時にどのような反応が起こっているのか、さまざまな測定機器を用いて解析している。

抗吃逆・抗アレルギー効果等を指標とした天然成分の探索

 柿のヘタには昔から吃逆(しゃっくり)に効ありとされてきたが、その有効成分や作用の詳細についてはよくわかっていない。臨床薬剤学研究室との共同研究もあわせて、その効果や有効成分に関する研究を行っている。

漢方薬・生薬の薬効評価に関する研究

 伝承薬などでは薬効は知られていてもなぜ、どのように作用するのかについては未解明のものも多い。

 多成分系の漢方薬生薬を、新たな切り口からその薬効評価を目指す研究を行っている。

 その一環として、細胞や酵素を使った薬理活性試験だけでなく、それらの活性予測モデルの作成などにより、より広く効率よく薬効評価が出来る手法の開発もあわせて行っている。